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院長’S コラム Vol.17 医療機関 の 経営問題
コラム医療機関 の 経営問題
みなさんこんにちは。院長の熊野です。
今回は医療機関の経営について書いてみたいと思います。
最近医療機関の経営が厳しい状況であることがさかんに報道されるようになりました。
🚨 医療機関の経営状態の現状は?
「病院は、患者さんが来てくれれば儲かるのでは?」そう思われるかもしれません。しかし、現在の多くの医療機関は、慢性的・構造的な「赤字経営」に直面しています。
これは決して当院だけの話ではなく、日本全国の共通の課題です。
主な原因は大きく分けて三つあると考えられています。
1) 医療費の抑制と物価高騰のギャップ
国が定める診療報酬(医療サービスの公定価格)は、約20年にわたり厳しい抑制が続いています。
一方で、医療機器、医薬品・光熱費・人件費は、近年特に物価高騰の影響で上昇の一途を辿っています。収入は横ばいか微増であるのに対し、支出は増え続けるという、極めて困難な構造なのです。
2) 医療従事者の確保の難しさ
医師、看護師、その他の専門職の確保は、特に地方では深刻な問題です。適切な給与水準を維持し、激務に見合う待遇を提供することが、経営上の大きな負担となっています。医療の質を保つためには、優秀な人材の確保・定着が不可欠ですが、そのコストは年々増加しています。
3) 採算の取れない医療の維持
救急医療、小児科、産科など、「命を守る」ために不可欠でありながら、恒常的に低い採算性しか得られない部門を、私たちは地域社会の責務として維持し続けています。当院ではこれらの診療部門はありませんが、総合病院などでは病院経営全体を圧迫する大きな要因となっています。
このままでは、病院の存続自体が危ぶまれ、「地域医療の灯」が消えてしまう事態になりかねません。
そうなれば、皆様が「必要な時に、必要な医療」を受けられなくなる未来が現実のものとなってしまいます。
病院・医院を問わず、医療機関は地域のインフラです。そこを利用する方・受診をする方のみならず、
多くの医療従事者が働く雇用の場として大切な存在であり、簡単になくしてはいけません。
我々も漫然とこれまでと同じようなやり方で診療を続けていては時代の要請に応えられないどころか、
経営困難となり診療の継続が出来なくなる危機感を感じています。
すぐ近くにある医療機関は決して当たり前に存在するものではありません。
必要な医療が、適切に地域の皆様に届けられるように我々医療者は全力を尽くしています。
皆様にとっても身近な医療についての問題を他人事でなく感じていただければと思います。
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